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砂糖を上手に摂りましょう

砂糖

砂糖は重要なエネルギー源であり、心身ともに満足感を与えてくれるだけではなく、料理の味付け、嗜好品にも使われる、私たちの食生活に欠かせない重要な食材の一つです。
しかし、昨今は「砂糖をとると太る」「糖尿病の原因になる」といって、砂糖を控える風潮になってきました。
確かに砂糖のとりすぎは肥満や糖尿病、心臓病やがんなどのリスクを高める可能性があります。しかし、適量であれば、エネルギー補充や運動のパフォーマンス向上に役立ちます。
また、「白い砂糖は体によくない、茶色い砂糖は体にいい」といった言説も聞かれますが、本当でしょうか。
砂糖はもちろん糖質の正しい知識と上手な摂り方を知り、心身ともに健康的な生活を送れるようにしたいものです。
この記事では砂糖や糖質についてご紹介します。

砂糖の働き

砂糖の成分のほとんどはショ糖というもので、種類によって異なりますが、80~99.85%含まれています。
ショ糖は体の中に入ると腸の中で酵素の働きによって、ブドウ糖と果糖に分類された後、腸で吸収され、肝臓に贈られます。
これはショ糖だけではなく、ご飯などの穀物に含まれるでんぷんも同様です。
すべての糖分は肝臓でブドウ糖に変えられて、血液中に放出されます。血液中に溶け込んだブドウ糖は全身の隅々まで運ばれるのです。
このとき、糖質をエネルギーとして利用するのに働くのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
ブドウ糖はインスリンによって筋肉や脂肪、脳に取り込まれて、私たちが生きていくのに必要なエネルギーとして利用されます。
必要な分使われた後、余ったブドウ糖は肝臓に戻り、肝臓内や筋肉組織のグリコーゲンに変えられて貯蔵されます。
貯蔵されたグリコーゲンは、血液中のブドウ糖が足りなくなると、再びブドウ糖に分解されてエネルギーとして利用されるのです。
私たちが運動や食事を抜いても、生命を維持できるのはこの貯蔵と供給のシステムが働いているからです。

砂糖は太る?

「砂糖を摂りすぎると太る」というイメージを持たれがちです。
砂糖は肥満と結び付けられることが多いのですが、実は砂糖を摂るから太るわけではありません。
砂糖はご飯やパン、うどんなどの穀物と同じ炭水化物なので、カロリーは1g当たり4キロカロリーなので他の炭水化物と同じです。
太る原因は、食事からとるエネルギーよりも生活で使われるエネルギーが少ないということ。つまり、エネルギーの出入りするバランスが崩れてしまうのが原因です。
ちょっとした移動でも自動車を使ったり、階段よりもエレベーターやエスカレーターを使ったりする人は多いでしょう。
体を動かす機会が減ることが、肥満の最大の原因といえます。
砂糖に限らず、どのような食品でも消費エネルギーを上回って食べすぎれば太ります。普段から適度な運動を心がけ、消費エネルギーを増やすことが大切です。

砂糖は糖尿病の原因?

糖尿病はその名前から砂糖が原因に見られがちです。
しかし、糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなる、または分泌パターンの障害が起こる病気のことです。
インスリンがきちんと働かず、血中のブドウ糖を体の細胞がうまく取り込めなくなり、血液中のブドウ糖が尿にまであふれ出てしまいます。
健康意識の向上とともに砂糖の消費量は年々減っていますが、糖尿病人口は増え続けているのが現状です。
糖尿病の原因は、遺伝的要因に加え、高カロリー・高脂質の食事、肥満、運動不足などの生活習慣、ストレスが考えられており、予防は食事・運動といった生活習慣の改善が重要だといわれています。

砂糖は虫歯の原因?

甘いものを食べると虫歯になるとよく言われますが、虫歯になるかどうかは食べ方が問題です。
人間の口の中は、食事をすると酸性になります。
唾液によって中和され、また食事をして酸性になるという状態が朝昼晩の約6時間ごとに繰り返されます。基本的にはこの流れを乱さないことが虫歯を防ぐ口内環境を保つために重要です。
問題になるのは、頻繁に間食して、いつも口の中に食べ物が残っている状態です。食事と食事の間はなるべく間食しないようにし口内を休ませましょう。
普段から心がけることで虫歯の細菌を減らし、虫倍になりにくくなります。

1日に摂取できる砂糖の量とは

WHO(世界保険機関)は1日の砂糖(糖質)の摂取量の目安を、1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えるべきというガイドラインを発表しています。
よって砂糖の摂取量は25gになります。
では、お菓子にはどのくらいの砂糖が含まれているのでしょうか。

・チョコレート1枚(60g):糖分26g
・クッキー3枚:糖分12g
・飴玉1個:糖分4g
・あんぱん・どら焼き1個:糖分30g
・菓子パン1個:糖分20g
・コーヒー、紅茶(スティックシュガー1本):糖分3g
・果汁100%ジュース250ml:糖分25g
・バナナ1個:糖分15g

結構、含まれていますね。
お菓子は心が慰められますが、おやつに含まれる砂糖の量が10~20gを目標にしましょう。

砂糖の種類

砂糖にはいろいろな種類があるので、用途にあわせて上手に使い分けてみてください。

上白糖

一般的な砂糖で、国内の砂糖消費量の半分を占めます。さとうきびやてんさいの絞り汁を結晶化させて乾燥させたものに糖液(ブドウ糖と果糖を成分としたもの)をかけているため、しっとりしているのが特徴です。
実は日本独自の砂糖で、料理やお菓子作りに何でもあいます。

グラニュー糖

上白糖よりも結晶が大きく、サラサラした砂糖です。グラニュー糖も上白糖と同じく原料から結晶を取り出すまでは同じですが、糖液はかけません。
癖のないあっさりした甘さでコーヒーや紅茶、料理などで使われる。世界では一般的な砂糖です。

三温糖

あまみが強く、独特の風味を持った黄褐色の砂糖で、コクがあるので、煮物や佃煮におすすめです。
作り方は上白糖などの結晶を取り出した糖液を煮詰めて作られます。加熱されるため色がつくのです。

白ざら糖

白ざら糖はグラニュー糖よりさらに結晶が大きく、透き通り光沢があります。砂糖の中でも純度が高く、上品な甘さです。
家庭で使われることは少ないですが、果実酒やゼリー、わたあめの材料として使われます。

中ざら糖(ざらめ)

結晶の大きさは白ざら糖とほぼ同じで、純度の高い黄褐色の砂糖です。三温糖と同じように糖液を加熱して作られます。
一般的にザラメと呼ばれ、独特のまろやかな風味があり、漬物や煮物などに使われます。

角砂糖

グラニュー糖を立方体に固めた砂糖で、おもにコーヒーや紅茶に使われます。
一個の量が決まっているため、お菓子作りにも最適です。

粉砂糖

グラニュー糖を粉砕して、粉上にしたものです。
フルーツやケーキ、クッキーなどのデコレーションにおすすめ。
サラサラとしていますが、固まりやすいのが特徴です。
固まりにくくるするためオリゴ糖やコーンスターチが加えられたものもあります。

きび砂糖

さとうきびの風味を活かした日新製糖独自の砂糖です。三温糖と似ていますが製造方法が異なります。
きび砂糖は精製途中の完全に不純物をろ過していない状態の糖液が煮詰められます。
そのため、三温糖とは違い、黒砂糖に近い独特なコクや風味が感じられるのです。
粉末タイプなので、料理やお菓子作り、パン作り等、幅広く使えます。

氷砂糖

ゆっくりと時間をかけて結晶を大きくした純度が極めて高い砂糖です。
氷砂糖は果実酒や果実シロップを作る際に用いられます。これは、氷砂糖がゆっくり溶けていくことで果実のエキスも溶けだしやすくなり、果実の香りがよく仕上がるためです。
また普通の砂糖と異なり溶け残りにくいのも理由の一つです。

黒砂糖(黒糖)

さとうきびの絞り汁を煮詰めた砂糖です。独特の強い風味と濃厚な甘さがあるため、そのままの形で食べられることもあります。
駄菓子や黒蜜などに使われ、料理で使う場合は独特の風味に仕上がります。

てんさい糖

てんさい糖とは北海道で栽培されるてん菜を加工した砂糖です。まろやかな甘さ、風味とコクがあるのが特徴。
てん菜を材料とした砂糖の中にグラニュー糖や上白糖はありますが、「てんさい糖」は茶色い砂糖を指すことがほとんどです。
てんさい糖はオリゴ糖が含有されており、腸内環境を整えるため役立ちます。

白い砂糖は体に悪い?

「白い砂糖は体によくない、茶色い砂糖は体にいい」と聞いたことはないでしょうか。
ですが、先ほど説明した通り、白い砂糖と茶色い砂糖の違いは製法であり、それ以外に大きな違いはありません。

茶色い砂糖の中でも黒砂糖やきび砂糖、てんさい糖はビタミンやミネラル類が豊富といわれ、上白糖やグラニュー糖に比べると確かに多く含まれますが、これらの栄養素のために砂糖を変えたとしても期待するほどの効果はないでしょう。
また、白い砂糖は体を冷やすともいわれ、東洋医学では体を冷やす食べ物として分類されています。
ですが、茶色い砂糖が体を冷やさないという根拠もありません。砂糖はエネルギー源となり体温を上げてくれる食材です。
白い砂糖、茶色い砂糖のどちらがいい・悪いではなく、砂糖の摂りすぎが問題です。体にいい・悪いで使い分けるのではなく、どちらの場合も摂りすぎないように注意しましょう。

まとめ

砂糖は色々な病気の原因とされますが、脳のエネルギー源や心を満たすために必要な食材です。
ただ、やみくもに砂糖や甘いものを制限しては、食事が楽しくなくなってしまいます。
摂りすぎはよくありませんが、正しい知識を持って食べることができたなら、さらなる生活の質を向上させることが可能です。
例えば、甘いものを食べるときは量ではなく質や食べる時間を工夫します。ケーキ1個を食べると糖分が多くなることで、半分を食べるより、和菓子一つ食べるほうが、満足感が得られます。
砂糖は私たちの食生活に彩りを与えるものです。謝った情報に振り回されずに、おいしく食べて健康管理をしたいものです。